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わかる経営管理

CLSの仕組み~外国為替取引第8回

 CLSの決済処理は、2つの段階から構成されています。第一に、CLS銀行の口座振替による外国為替取引の決済と、第二に中央銀行に開設しているCLS銀行口座からの資金払い出しです。
 CLS銀行は、各国の中央銀行に口座を開設しており、通常の商業銀行と同じく取引先金融機関の1つとなっています。各行(決済メンバー)からCLS銀行への払込みをペイイン-Pay-in、CLS銀行から各行への払い出しをペイアウト-Pay-outといいます。

 決済メンバーは、CLS銀行に預金口座を開設しており、各決済日において口座残高ゼロで始まり、ゼロで終わります。各行の口座ごとに円やドル、ユーロといったサブ口座があります。
 CLS銀行は、各決済日の一定時間までに決済メンバー等から持ち込まれた外国為替取引の支払指図について、個別の支払指図ごとに順次グロス・ベースで決済を行います。

 例えば、日本のA銀行とアメリカのB銀行が100ドル=8,000円を売買した取引の決済を考えてみましょう。
 A銀行は日本銀行のCLS銀行口座に8,000円をペイインし、B銀行は連邦準備銀行のCLS銀行口座に100ドルをペイインします(時差あり)。CLS銀行は両中央銀行からペイインの連絡を受けて、A銀行口座の円サブ口座に8,000円、B銀行口座のドルサブ口座に100ドルを負債側に計上し、また日本銀行当座預金に8,000円、連邦準備銀行当座預金に100ドルを資産側に計上します。
 CLS銀行はペイインを確認したら、支払指図ごとにCLS銀行内で口座残高を振替えます。A銀行のドルサブ口座に100ドルを振替え、B銀行の円サブ口座に8,000円を振替えます。これによりCLSでの決済は終了します。ここまでが第一段階です。
gaika5.GIF
 この例では1取引のみの決済ですが、現実には複数の取引を決済するため、すべてのペイインが行われていることを確認して決済する必要があります。ただし、通貨ごとに日中の取引における一定の範囲内での赤残は容認されています。

 次は、第二段階の各銀行への払出しです。決済(CLS銀行内の口座振替え)はグロス・ベースですが、資金の払込みと払出しはネット・ベースで行われます。資金の払込みと払出しは各国の即時グロス決済システムRTGS-Real time Gloss settlement(日本では外国為替円決済システムのこと)との間で行われるため、システムの稼働時間が重なるようになっています。
 CLS銀行は、日本銀行のB銀行口座に8,000円を、連邦準備銀行のA銀行口座に100ドルをペイアウトします。日本銀行はCLS銀行の当座預金8,000円を引き落とし、B銀行口座に入金します。また、連邦準備銀行はCLS銀行の当座預金100ドルを引き落とし、A銀行口座に入金します。これでCLS銀行の残高はゼロになりました。
 以上ですべての為替決済取引が終了します。
gaika4.GIF
 したがって、CLSの仕組みにおいては各行が外国為替取引により獲得した外貨は各通貨の中央銀行に対するポジションとして保有されていることになります。すなわち、A銀行のドルポジションは、この時点では連邦準備銀行の当座預金口座にあることになります。アメリカ支店や子会社がある場合、これを現地で引き出すことができます。

追記
 もちろん、すべての銀行がCLS銀行に口座を開設しているわけでもありません。CLS銀行に口座を開設している決済メンバー以外は、決済メンバーを通じてCLS取引をすることになります。
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